コラム

column

乳腺炎 乳腺膿瘍

1.授乳期の乳腺炎

授乳中に分泌されたミルクが、しっかり授乳されずに乳腺にのこり
その停滞したミルクに乳頭からか毛穴からかの菌の侵入により感染すると
考えられています。感染すると乳房が赤く発赤し、痛み、発熱します。(炎症)
治療は搾乳などで停滞したミルクをとにかく搾り出し、抗生剤を飲んだりしますが、
運悪く炎症がとれず、膿瘍となってしまうとそれを切開し排膿しなければならなくなります。きった創部からもミルクがでてくるので、しばらくガーゼ交換も大変です。
でも最近は助産師さんが、乳腺炎を意識してお母さんたちに指導しているので、ひどいのはしばらくお目にかかっていません。

2.授乳期以外の乳腺炎

①乳輪下膿瘍:乳頭近くの乳管が、未分化のため十分開通せず、そのふさがったところに老廃物がたまり袋状に
なっているものですが、そこにちょくちょく菌が感染し、
炎症をおこし、切開排膿を繰り返ししなければならなくなります。タイミングを見計らって摘出するべきです。
(未分化な乳管もとりさるので、 ほとんど併発している陥没乳頭もなおります。)

②慢性乳腺炎:肉眼的にはいわゆる炎症のサイン(発赤、発熱、痛み)はないのですが、小さい腫瘤などでUS上みつかり、乳癌と区別するため組織検査すると、 顕微鏡的にリンパ球などの増加やマクロファージの出現から乳腺炎と診断されます。
やはりときどき炎症の悪化で膿瘍をつくります。やはり抗生剤でだめなら切開排膿ですが、繰り返したら切除しないといつまでもだらだら病院通いになってしまうこともあります。

乳房の痛みについて

乳房の診察において、もっとも多い患者さんの訴えは乳房の痛みや張り、脇の下のつっぱりや違和感です。
痛みの表現もズキズキとか、チクチクするとか 様々です。
これらはもちろん乳癌のサインではないのですが、本人にとっては気になってしまうのも分かります。
しばらく検診をしてない方には、検診のきっかけにはなり意味があることですが、検診で異常なしといわれたばかりの人まで、心配になってしまい、また医療機関を受診するというのはよくありません。
生理痛なら一言で終わり、みんな子宮癌を心配しないと思いますが、乳房に関する痛みについては生理痛ほど認知されてないせいか、乳癌の心配をするかたが多いです。
乳房の痛みで乳癌の心配をしないように知らせていきたい。